「SOAP記録って何を書けばいいの?」「SとOの違いがわからない…」
介護現場で働き始めると、必ずぶつかるのがSOAP形式の記録です。この記事では、SOAP記録の基本から場面別の例文まで、現場ですぐ使える形で解説します。
SOAP記録とは?
SOAP記録は、医療・介護の現場で広く使われている記録形式です。4つの項目に分けて記録することで、誰が読んでも同じ情報が伝わる記録になります。
| 項目 | 意味 | 何を書くか | |------|------|-----------| | S(Subjective) | 主観的データ | 利用者本人や家族の発言・訴え | | O(Objective) | 客観的データ | バイタル、観察した事実、数値 | | A(Assessment) | アセスメント | SとOを踏まえた専門的な分析・評価 | | P(Plan) | 計画 | 今後の対応方針・ケアの計画 |
なぜSOAP形式が求められるのか
介護記録は「書けばいい」というものではありません。記録には3つの役割があります。
- チームへの情報共有 — 次の担当者が読んで、すぐにケアを引き継げる
- ケアの質の担保 — アセスメントと計画があることで、根拠あるケアにつながる
- 法的な証拠 — 万が一の事故・トラブル時に、適切なケアを行っていた記録になる
SOAP形式を使えば、この3つが自然に満たされます。
S(主観的データ)の書き方
Sには、利用者本人の発言をそのまま記録します。
ポイント
- 「」(かぎかっこ)で囲んで、発言をそのまま書く
- 介護者の解釈を混ぜない
- 発言がない場合は「発言なし」と明記する
良い例・悪い例
| ✅ 良い例 | ❌ 悪い例 | |----------|----------| | 「今日は膝が痛くて歩きたくない」 | 膝が痛そうだった | | 「ご飯おいしかった、おかわりしたい」 | 食欲があった | | 発言なし | (Sの欄を空欄にする) |
「膝が痛そうだった」は介護者の**観察(O)**です。本人が「痛い」と言ったのか、表情から判断したのかで、記録する場所が変わります。
O(客観的データ)の書き方
Oには、誰が見ても同じと言える事実を記録します。
書くべき内容
- バイタルサイン(体温、血圧、脈拍、SpO2)
- 食事・水分の摂取量
- 排泄の回数・量・性状
- 歩行・移乗の様子
- 皮膚の状態
- 表情・行動の客観的描写
ポイント
- 数値で書けるものは数値で(「たくさん食べた」→「主食10割、副食8割摂取」)
- 主観的な形容詞を避ける(「元気だった」→「笑顔で挨拶あり、自発的に会話あり」)
- 時刻を明記する
良い例・悪い例
| ✅ 良い例 | ❌ 悪い例 | |----------|----------| | 体温36.5℃、血圧132/78mmHg | バイタル正常 | | 主食10割、副食8割摂取 | よく食べていた | | 14:30 居室にて右側臥位で入眠中 | ぐっすり寝ていた |
A(アセスメント)の書き方
Aは、SとOの情報をもとにした専門的な分析・評価です。ここが介護記録の「プロの腕の見せどころ」です。
書くべき内容
- 利用者の状態の変化(改善・悪化・維持)
- 原因の考察
- リスクの評価
- ケアの効果の判断
ポイント
- SとOに根拠がある分析を書く(憶測NG)
- 「〜と考えられる」「〜の可能性がある」と推測の表現を使う
- 前回との比較を意識する
例文
昨日と比較して食事摂取量が低下(主食10割→6割)しており、本人の「お腹が張る」という訴えからも、便秘による食欲低下が考えられる。3日間排便がないことからも、腹部の状態に注意が必要と考える。
P(計画)の書き方
Pには、アセスメントを踏まえた具体的な対応策を書きます。
ポイント
- 具体的なアクションを書く(「様子を見る」だけでは不十分)
- 誰が・いつ・何をするかが分かるように
- 次の担当者がすぐ行動できる内容にする
良い例・悪い例
| ✅ 良い例 | ❌ 悪い例 | |----------|----------| | 水分摂取を促し、明日も排便がなければ看護師に報告 | 様子を見る | | 歩行時は必ず見守りを行い、杖の使用を継続 | 注意する | | 次回入浴時に左踵部の皮膚状態を再確認する | 気をつける |
場面別SOAP記録の例文
食事の記録
S: 「今日のお味噌汁、熱くてちょっとむせちゃった」
O: 昼食時、味噌汁摂取時にむせ込み1回あり。その後は問題なく摂取。主食10割、副食8割、水分200ml摂取。食事時間25分。姿勢はリクライニング30度。
A: 味噌汁の温度による一時的なむせ込みと考えられる。普段はむせ込みなく摂取できており、嚥下機能の低下ではないと思われるが、継続して観察が必要。
P: 汁物の提供時は適温に冷ましてから提供する。むせ込みの頻度が増える場合は看護師・STに報告し、嚥下評価を検討する。
排泄の記録
S: 「トイレに行きたい」と自らナースコールあり。
O: 14:20 トイレ誘導実施。普通便・中等量あり。4日ぶりの排便。尿量200ml程度。移乗時のふらつきなし。
A: 4日ぶりの排便であり、前日の水分摂取量増加(1,200ml→1,500ml)と歩行訓練の効果が考えられる。自発的なナースコールがあり、排泄意識は良好。
P: 引き続き水分摂取1,500ml/日を目標に声かけを行う。排便状況を記録し、3日以上排便がない場合は看護師に報告する。
入浴の記録
S: 「気持ちよかった、もうちょっと入っていたい」
O: 一般浴にて入浴実施。湯温40℃、入浴時間15分。洗髪・洗身は一部介助(背中のみ)。入浴前BP 128/76、入浴後BP 134/80。皮膚に発赤・外傷なし。右膝に乾燥あり。
A: 入浴前後のバイタル変動は許容範囲内。本人の満足度も高く、入浴拒否なく実施できた。右膝の乾燥については保湿ケアの継続が必要。
P: 入浴後に右膝の保湿剤塗布を継続する。次回も一般浴で実施予定。
転倒・事故の記録
S: 「足がもつれて転んでしまった」
O: 10:15 居室からトイレへの移動中、廊下にてしりもちをつく形で転倒。後頭部・臀部の打撲なし。意識清明。BP 130/82、P 78。歩行器未使用の状態で移動していた。
A: 歩行器を使用せずに移動したことが転倒の直接的な原因と考えられる。幸い外傷は認められないが、今後も歩行器なしでの移動を試みる可能性があり、転倒リスクが高い状態。
P: 移動時は必ず歩行器を使用するよう声かけを徹底する。ナースコールの位置を確認し、移動前にコールするよう促す。24時間は経過観察を行い、頭痛・嘔気等の症状が出現した場合は直ちに看護師に報告する。ご家族への連絡済み。
よくある間違いと改善ポイント
1. SとOが混ざっている
❌ S: 食欲がなさそうだった
→ 「食欲がなさそう」は介護者の観察(O)。Sには本人の発言を書きましょう。
✅ S: 「あんまり食べたくない」 / O: 主食3割摂取にとどまる
2. Aが書けない・空欄にしてしまう
Aは難しく考える必要はありません。「SとOを見て、何が言えるか」を書くだけです。
テンプレート: 「〇〇(Oの事実)と、△△(Sの発言)から、□□と考えられる。」
3. Pが「様子を見る」だけ
「様子を見る」は計画ではありません。何を観察するか、どうなったらどうするかを具体的に書きましょう。
✅ 「食事摂取量を記録し、3食連続で5割以下の場合は看護師に報告する」
SOAP記録を早く書くコツ
1. 書く順番はO→S→A→Pがおすすめ
まず客観的な事実(O)を書き、本人の発言(S)を加え、そこから分析(A)を行い、対応(P)を決める。この順番なら自然に書けます。
2. メモを取る習慣をつける
ケアの直後に数値や発言をメモしておけば、後から記録を書くときに困りません。
3. 音声入力を活用する
最近は音声入力で介護記録を作成するツールも登場しています。喋った内容をAIがSOAP形式に自動整理してくれるので、記録の時間を大幅に短縮できます。
まとめ
SOAP記録は、慣れれば5分で書けるようになります。ポイントをおさらいしましょう。
- S: 利用者の発言を「」でそのまま書く
- O: 数値と事実を客観的に書く
- A: SとOから言えることを分析する
- P: 具体的な対応策を書く
記録は利用者さんのためのものです。良い記録が、良いケアにつながります。
CareVoiceは、音声入力×AIで介護記録をSOAP形式に自動変換するサービスです。話すだけで、この記事で解説したSOAP記録が自動で生成されます。